相続・遺言

相続人って誰?どこまでの人が相続人になるの?〜ドラマみたいな相続の話から考える〜

ある日、見知らぬおばあちゃんの財産を相続することになった女の子

ドラマやマンガで、こんな場面を見たことはありませんか。

ひとり暮らしの、明るくて元気な女の子。

ある日とつぜん、スーツを着た弁護士がやってきて、こう告げます。

 

「あなたは、お亡くなりになったおばあさまの財産を相続することになりました」

会ったこともないおばあちゃん。立派なお屋敷に、たくさんの財産。

「えっ、わたしが?」と、てんやわんやの大騒ぎ——。

 

なんだか夢みたいな話ですよね。

「そんなラッキーなことってあるの?」と、つい引き込まれてしまいます。

 

でも、ちょっと立ち止まって考えてみると、いくつもの「?」が浮かんでこないでしょうか。

 

  • 会ったこともないのに、どうして相続できるの?
  • そもそも「相続人」って、どこまでの人のことをいうの?
  • もし自分の家族が亡くなったら、相続するのは誰になるの?

 

このコラムでは、この女の子の物語をたどりながら、

「相続人とは、結局どこまでの人のことなのか」

をやさしく整理していきます。

 

聞き慣れない言葉も出てきますが、ひとつずつ、ゆっくり進めていきましょう。

 

まず結論から。相続人になれる人は決まっています

「相続人」と聞くと、なんとなく「家族みんな?」というイメージを持つ方が多いかもしれません。

でも実は、誰が相続人になるかは、法律できちんと決められています。

ざっくり言うと、こういう仕組みです。

 

配偶者(夫または妻)は、いつでも相続人になります。

そのうえで、次の順番で、いちばん上の人が相続人に加わります。

第1順位:子ども

第2順位:親(父母など)

第3順位:兄弟姉妹

ポイントは、「順番がある」ということです。

上の順位の人がひとりでもいれば、下の順位の人は相続人にはなりません。

 

たとえば、亡くなった方に子どもがいれば、

その時点で第2順位の親(父母など)や、第3順位の兄弟姉妹は相続人になりません。

子どもがいなくてはじめて、親(父母など)に順番が回ってきます。

親(父母など)もいなければ、ようやく兄弟姉妹に——という具合です。

 

配偶者だけは、この順番とは関係なく、いつでも相続人になります。

ここはしっかり覚えておくと、あとの話がぐっとわかりやすくなります。

 

配偶者と一緒に相続するとき、分け方はどうなる?

「相続人になる」とわかったら、

次に気になるのが「どれくらいもらえるの?」というところですよね。

法律では、それぞれの組み合わせごとに、目安となる割合(法定相続分)が決められています。

代表的なものを見てみましょう。

 

相続人 法定相続分
配偶者+子ども 配偶者1/2・子ども全体で1/2
配偶者+親(父母など) 配偶者2/3・親1/3
配偶者+兄弟姉妹 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4

 

こうして並べてみると、相続人の組み合わせによって割合が変わることがわかります。

配偶者は誰と一緒に相続するかで変わってくるのですね。

 

では、あの女の子はなぜ相続できたの?

ここで、最初のドラマの話に戻りましょう。

会ったこともないおばあちゃんの相続人に、なぜあの女の子はなれたのでしょうか。

 

実は、この女の子、よく見ると

「ひとり暮らしで、ご両親はすでに亡くなっている」という設定が多いんです。

ここにヒントがあります。順番に整理してみましょう。

本来、おばあちゃんが亡くなったとき、

相続人になるはずだったのは、おばあちゃんの子ども——つまり、女の子のでした。

ところが、その親はすでに亡くなっています。

 

こういうとき、亡くなった親の立場をそのまま引き継いで

その子ども(=おばあちゃんから見れば孫)が相続人になるのです。

この仕組みを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。

 

少しむずかしい言葉ですが、イメージはシンプルです。

「本来もらうはずだった人が先に亡くなっているとき、その子どもが、代わりにその立場に立つ」。

これだけなのです。

だから女の子は、親を飛び越えて、おばあちゃんから直接相続することになったのですね。

 

ドラマの「会ったこともないのに相続」というふしぎな場面も、

こうして見ると、ちゃんと法律のルールにそった話だったわけです。

 

*ちょっと補足*

 代襲相続は、「親が持っていた財産を、いったん親がもらってから子に渡す」のではありません。

子どもが、親の“立場”をそのまま引き継いで、亡くなった方から直接受け取る、という形になります。

細かいようですが、ここを押さえておくと、あとで相続放棄などの話が出てきたときに混乱しにくくなります。

 

孫やひ孫まで、どこまで続くの?

「親の立場を子が引き継ぐ」とお話ししました。

では、その孫も先に亡くなっていたら、どうなるのでしょう。

 

第1順位(子ども)の場合、この引き継ぎには制限がありません

孫が亡くなっていればひ孫へ、ひ孫が亡くなっていれば、そのまた子どもへ……と、下の世代へどこまでも続いていきます。

 

とはいえ、現実にそこまで続くケースはほとんどありません。

「理屈の上では、ずっと下まで続いていく」と知っておけば十分です。

ここで、ひとつ注意したい対比があります。

 

第1順位(子ども)の代襲:制限なし 孫 → ひ孫 → そのまた子ども……と、どこまでも下へ。

第3順位(兄弟姉妹)の代襲:一代限り 兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪までは代襲できますが、 その甥・姪も亡くなっている場合、その先(甥・姪の子)には続きません。

 

同じ「代襲」でも、子どもの場合は無制限、兄弟姉妹の場合は一代限り——。

この違いは少しややこしいので、「子はどこまでも、兄弟はその子どもまで」というイメージで覚えておくとよいかもしれません。

 

子どもがいない夫婦は、ここに注意

最後に、多くの方が「えっ、そうなの?」と驚かれるかもしれないお話をしておきます。

「子どものいないご夫婦の場合、夫が亡くなったら、財産はすべて妻のものになる」

そう思っている方は、とても多いです。

 

でも、実はそうとは限りません。

子どもがいない場合、第2順位の親(父母など)、それもいなければ第3順位の兄弟姉妹に順番が回ってきます。

つまり、こういうことが起こり得ます。

 

夫が亡くなった。子どもはいない。夫の親もすでに他界している。

このとき、相続人になるのは——妻と、夫の兄弟姉妹です。

長年連れ添った妻が、夫の兄弟姉妹と一緒に相続手続きをすることになる。

 

場合によっては、ふだんあまり交流のない相手と、財産の話をしなければならない。

そう聞くと、少し大変そうに感じるかもしれません。

ただ、こうしたケースには、あらかじめ備えておく方法もあります。

 

たとえば遺言書を残しておくことで、相続のかたちを整えておくことができます(兄弟姉妹には「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限の取り分を求める権利がないため、遺言の効果が比較的はっきり出やすい、という特徴もあります)。

このあたりは、また別のコラムでくわしくお話しできればと思います。

 

まとめ:相続人は「順番」で決まる

今回のお話を、さいごに整理しておきましょう。

・配偶者はいつでも相続人になる

・そのうえで、第1順位:子ども → 第2順位:親(父母など) → 第3順位:兄弟姉妹の順に、いちばん上の人が相続人になる

・上の順位の人がいれば、下の順位の人は相続人にならない

・本来の相続人が先に亡くなっているときは、その子どもが立場を引き継ぐ(代襲相続)

・代襲は、子どもなら制限なし、兄弟姉妹なら一代限り(甥・姪まで)

・子どものいないご夫婦は、配偶者と兄弟姉妹が相続人になることがある

ドラマの女の子の話は、ちょっと特別な例に見えて、

実は「相続人とは誰か」というルールを、そのまま教えてくれていました。

そして——ここまで読んで、こんな疑問が浮かんだ方もいるかもしれません。

 

「ドラマでは弁護士が女の子を見つけてくれたけど、現実では、いったい誰が、どうやって相続人を調べるの?」

実はこれが、相続手続きのなかでも、とても大切で、ときに大変な作業になります。

次回のコラムでは、「相続人って、どうやって調べるの?」をテーマに、その入口をお話ししていきますね。

 

相続やお手続きについて、ご不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

多田行政書士かみつれ事務所

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