「トリミングの技術には自信がある。いつか自分のお店を持ちたい」
そう思って調べ始めたものの、
「開業って、何から手をつければいいの?」
と、最初の一歩で止まってしまう方はとても多いです。
技術を学ぶ場所はたくさんあっても、「お店を始める手続き」を教えてくれる場所は意外と少ないんですよね。
このページでは、東久留米市やその周辺でトリミングサロンを開きたい方に向けて、開業までの流れを順番にお伝えします。
難しい言葉はできるだけ使わずに、「まず何を・どの順番でやればいいか」がわかるように整理しました。
ご自宅の一室で小さく始めたい方も、テナントを借りてしっかり構えたい方も、基本の流れは同じです。順番に見ていきましょう。
まず知っておきたい「動物取扱業の登録」
トリミングサロンを開くとき、いちばん大事な手続きがこちらです。
犬や猫のからだをお預かりして、シャンプーやカットをする。これは法律の上では「動物を扱うお仕事」にあたります。
そのため、お店を始める前に「第一種動物取扱業(だいいっしゅどうぶつとりあつかいぎょう)」
という登録をする必要があります。
「これからこういうお店を、この場所で始めます」と、お店のある場所を担当する窓口(東京都の場合は動物愛護相談センター)に届け出て、登録してもらう、という手続きです。
この登録には、扱う仕事の内容によって「販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養」という7つの種別があります。
トリミングサロンの場合は、この中の「保管(ほかん)」という種別にあたります。
東京都の案内でも、美容業者は「動物を預かる場合」に保管にあたる、と説明されています。
シャンプーやカットのあいだ、お客様の犬や猫をお預かりするからですね。
ちなみに、これは店舗をかまえる場合だけの話ではありません。飼い主さんのお宅に伺う出張トリミングの場合も、事業の内容によっては登録が必要になることがあります。
判断が分かれるケースもあるため、事前に窓口へ確認しておくと安心です。
お店の内容によっては、保管に加えて別の種別が必要になることもあります。
ペットホテルやしつけ教室などをあわせて行う場合は、追加の手続きや確認が必要になることがあります。大切なのは、この登録を済ませる前にお店を開いてしまうと、法律違反になってしまうということです。
「知らなかった」では済まないところなので、開業を考え始めたら、まずここを押さえておきましょう。
登録には「動物取扱責任者」が必要
動物取扱業の登録をするには、お店に一人「動物取扱責任者(どうぶつとりあつかいせきにんしゃ)」を置く必要があります。
一人で開業する場合は、ご自身がこの責任者になります。
そして、この責任者になるためには、資格や実務の経験など、一定の条件を満たさなければなりません。
ここでよくある不安として、「自分の経験や資格で、条件を満たせているのかわからない」というものです。
実は、ここが開業準備でつまずきやすい最初の関門です。
要件は細かく決められていて、しかも見直されることもあるため、「自分のケースは大丈夫か」を判断するのが難しいんですね。
この責任者の条件については、現在は資格だけでなく、実務経験や学歴なども含めて判断されます。
少し詳しいお話になるので、別のページであらためてくわしくご説明します。
ここでは「お店に責任者を一人置く必要があり、その条件を満たせるかどうかを、物件を決める前に確認しておくと安心」とだけ覚えておいてください。条件を満たしていないまま物件を借りてしまうと、思わぬ遠回りになってしまうこともあります。
開業できる場所か先に確かめる
ここは特に見落とされやすいので、独立してお伝えします。動物取扱業の登録とは別に、「そもそも、その場所でお店を開いていいか」という確認が必要です。
これには2つの段階があります。
ひとつは、法律や地域のルールの面。
実は、地域によっては動物を扱うお店を開けなかったり、建物に制限がかかったりすることがあります。東京都も、登録を申請する前に、必ずお店を開く地域の市区町村の担当課(都市計画課や建築指導課など)に事業の内容を説明して、お店を営んでいい場所かどうかを確認するよう案内しています。
東久留米市のような多摩地域の場合は、市役所の建築関係の窓口などが相談先になります。
もうひとつは、契約や管理規約の面。
賃貸マンションやアパートでは、契約上お店として使うことが禁止されていることがあります。
分譲マンションでも、管理規約で商売が制限されている場合があります。
「内緒で始めればいい」と考えてしまう方もいますが、後々の大きなトラブルのもとになりますので、必ず事前に確認しておきましょう。
この二つは、物件を決めてしまう前に確認するのが肝心です。
せっかく良い物件を見つけても、ここで引っかかると、契約のやり直しという一番もったいないことになってしまいます。
お店の設備にもルールがある
動物取扱業の登録では、お店の設備についても基準が決められています。細かい数字まで全部覚える必要はありませんが、「こういう観点でチェックされる」という大枠を知っておくと、物件選びや内装の打ち合わせがスムーズになります。たとえば、
・犬や猫を清潔に保てる設備があること。
・床や壁が掃除しやすく、衛生を保てる作りになっていること。
・動物が快適に過ごせる広さや明るさ、風通しが確保されていること。
こうした点が見られます。
自宅の一部で開きたいときの注意点
「初期費用を抑えたいから、自宅の一室をサロンにしたい」これはとても多いご希望です。
実際、自宅開業は可能です。
ただし、気をつけたいことがあります。先ほどの設備基準を、自宅の一室でも満たす必要があるということ。
生活スペースとお店のスペースをきちんと分けられるか、衛生面を保てるか、という点が見られます。
特に自宅やテナントを「トリミングサロン仕様」に変えるとき、シンクの大きさや、お湯が使える設備、換気の仕組みなどが関わってきます。
内装業者さんと打ち合わせをする前に基準を知っておくと、「あとから作り直し」という一番もったいない事態を防げます。
そして、ひとつ前でお伝えした「その建物で開いていいか」の確認も、自宅の場合は特に大切になります。
戸建てのご自宅でも、お客様の出入りや駐車のことで、ご近所への配慮が必要になる場面があります。この点は後ほど詳しくお伝えします。
お金のこと、現実的に見ておく
開業には、いくらかの費用がかかります。
漠然と不安に思うより、何にいくらかかるかを項目で把握しておくと、計画が立てやすくなります。
主にかかるのは、物件の費用(自宅なら抑えられます)、トリミング機材やシンクなどの設備費用、内装を整える費用、そして動物取扱業の登録にかかる手数料です。
登録手数料は種別ごとに1万5千円程度が目安ですが、自治体によって異なります。
自己資金だけでは足りない、という場合は、創業時に使える融資や、お住まいの自治体の補助金・助成金という選択肢もあります。
東久留米市や近隣の自治体でも、創業を応援する制度が用意されていることがあります。
こうした制度は時期によって内容が変わるので、開業を考え始めたタイミングで一度調べておくとよいでしょう。
開業までの期間はどれくらい?
物件探しから始める場合は、数か月単位で準備が進むことが多いです。
特に動物取扱業の登録は、書類提出後すぐ営業できるわけではありません。
希望するオープン日がある場合は、余裕を持って準備を始めると安心です。
ご近所への配慮も、開業準備のひとつ
トリミングサロンは、犬の鳴き声やにおいが、ご近所との間で気になりやすいお仕事でもあります。
「お店を開いたあとで苦情が来たらどうしよう」という不安は、多くの方が抱えています。
でも、これは事前の備えでかなり防げる部分です。たとえば、
・換気や消臭の仕組みを整えておくこと。
・鳴き声が響きにくい工夫をしておくこと。
・開業前に、ご近所へひとこと挨拶をしておくこと。
こうした小さな配慮の積み重ねが、長く続けられるお店づくりにつながります。
設備の工夫は、先ほどの動物取扱業の設備基準とも重なる部分があります。
「基準を満たす」ことと「ご近所と良い関係を保つ」ことは、同じ方向を向いているんですね。
開業までの流れを、ざっと整理すると
ここまでの内容を、順番にまとめておきます。
まず、ご自身が動物取扱責任者の条件を満たせるかを確認する。
次に、お店にしたい場所について「その建物で開いていいか」を確認する(地域のルールと、契約・管理規約の両面)。
あわせて物件が設備基準を満たせそうかを見る。
そして、必要な書類をそろえて動物取扱業の登録を申請する。
申請のあとには、職員の方が実際にお店を見に来ます。(「立入確認」など、呼び方はさまざまです)
書類を出すと、それで登録完了、というわけではありません。申請のあと、窓口の職員の方が実際にお店を訪れて、
「書類に書かれたとおりの設備になっているか」
「動物を清潔に・安全にお世話できる作りになっているか」を、その目で確認します。
もし基準を満たしていない場合は、手直しが必要になることもあります。
確認で問題がなければ、登録となります。
登録が下りたら、いよいよ開業、という流れです。
ここで覚えておきたいのは、登録の申請から実際に営業できるまでには、
少し時間がかかるということです。
「この日にオープンしたい」という希望があるなら、逆算して早めに動き出すのが安心です。
なお、東久留米市を含む多摩地域でお店を開く場合、動物取扱業の登録の窓口は東京都動物愛護相談センターの多摩支所になります。
具体的な手続きや必要書類は、お店の内容によって変わりますので、早い段階で一度確認しておくと安心です。
行政書士がお手伝いできること
ここまで読んで、「やることが多いな」と感じたかもしれません。
トリミングの技術と、開業の手続きは、まったく別の知識です。技術のプロであっても、手続きは初めてで当たり前なんですね。
だからこそ、手続きの部分は、それを専門にしている人に頼っていただけたらと思っています。
私は東久留米市で行政書士をしています。動物取扱業の登録申請のお手伝いや、「自分の経験で責任者の条件を満たせるか」といったご相談から、お受けしています。
「まだ物件も決まっていない」
「そもそも何から聞けばいいかわからない」
——そんな段階からで、まったく問題ありません。
むしろ、何も決まっていないうちにご相談いただいたほうが、遠回りせずに進められることが多いです。
特に「責任者の条件を満たせるか」「その物件で営業できるか」は、契約した後ではやり直しが難しい部分です。
開業準備の早い段階で確認しておくと、遠回りを防ぎやすくなります。
難しい言葉はなるべくわかりやすい言葉に変えて、
「あなたのお店の場合はどうすればいいか」を一緒に整理していきます。
よろしければ、まずはお話を聞かせてくださいね。


コメント