知っていれば防げること、知らずに困ってしまうこと
このページは、留学生のアルバイトについて全体を知りたい方へ向けたまとめです。
お立場によっては、こちらの記事のほうが読みやすいかもしれません。
・留学生ご本人・ご家族の方へ
→「やさしい日本語版|アルバイトをする留学生へ 大切な5つのルール」
・お店や会社で留学生を雇う方へ
→「留学生をアルバイトで採用するときに、確認しておきたいこと」
はじめに
留学生として日本にやってきて、学費や生活費のためにアルバイトをする。
とても自然なことですし、たくさんの留学生の方ががんばっています。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。
留学生のアルバイトには、いくつかの「ルール」があります。
そして、そのルールは「知らなかった」では済まないこともあるのです。
このコラムは、誰かを脅すために書いたものではありません。
むしろ逆で、「ルールを知っていれば、防げることがたくさんある」ということをお伝えしたくて書きました。
留学生ご本人、そのご家族、留学生を雇うお店の方、そして「気になっていた」という一般の方。
どなたが読んでも大丈夫なように、できるだけやさしい言葉で進めていきますね。
Q1. 留学生は、そもそもアルバイトをしてもいいの?
はい、できます。
ただし、条件があります。
留学のために日本にいる方は、もともと「日本で勉強するため」に滞在を認められています。
つまり、本来は「働くこと」を目的にした立場ではないのです。
そのため、アルバイトをするには、事前に「働いてもいいですよ」という許可をもらっておく必要があります。
これを、むずかしい言葉で「資格外活動許可(しかくがいかつどうきょか)」といいます。
ちょっと長い名前ですが、意味はシンプルです。
「本来の目的(=勉強)とは別の活動(=アルバイト)を、特別に認めてもらう許可」ということです。
この許可をもらうと、在留カードの裏面に、「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」といった内容が書かれます。
お店の方は、ここを確認することで「この人はアルバイトをしてもいい人なんだな」と分かるしくみになっています。
◇ここがポイント
許可をもらわずにアルバイトをしてしまうと、それだけでルール違反になってしまいます。
「みんなやっているから大丈夫」ではなく、自分の在留カードの裏に許可が書いてあるかを、まず確かめてみてください。
Q2. その「許可」って、学校がくれるものなの?
いいえ、ここはよく勘違いされるところです。
アルバイトの許可をくれるのは、学校ではなく「入管(出入国在留管理庁)」という、国の役所です。
学校が「アルバイトしていいよ」と言ったとしても、それは正式な許可ではありません。 逆に、学校に相談しなくても、入管できちんと許可をもらっていれば、アルバイトはできます。
「学校の先生がいいって言ったから」
「先輩がやっていたから」
・・・こうした”なんとなく”の判断が、後でトラブルのもとになることがあります。
正式な許可は、入管に申請して、在留カードの裏面に記載されて、はじめて有効になる。 ここだけは、ぜひ覚えておいてくださいね。
ちなみに、この申請は、留学生ご本人のほか、行政書士など、決められた資格を持つ人がお手伝いすることもできます。
「自分でやるのは不安」という方は、相談先があることも、頭の片隅に置いておいてください。
Q3. 夜のお店では働けないって、ほんとう?
これも、とても誤解されやすいところです。
よく「夜だから働いちゃダメなんでしょ?」と思われがちですが、実はそうではありません。
判断の基準は、「夜かどうか」ではなく、「そのお店が”風俗営業”にあたるかどうか”」なのです。
少しかみくだいてみますね。
・ふつうの居酒屋、深夜までやっているカフェ、コンビニ → これらは、夜の時間帯でも働けます。
・接待をともなうお店や、特定の業種のお店(いわゆる風俗営業にあたるお店) → ここは、許可があっても働けません。
そして、ここが間違えやすいポイントです。
風俗営業にあたるお店では、お客さんの前に出ない「裏方」の仕事(たとえばお皿洗いなど)でも、働くことができません。
「接客じゃないから大丈夫」と思ってしまいがちですが、お店の”種類”そのものが対象になるので、仕事の内容は関係ないのです。
◇ここがポイント
「夜だからダメ」ではなく「お店の種類の問題」。
求人を見て迷ったときは、「このお店はどういう種類のお店なのか」を、応募する前に確かめてみてください。
Q4. 「週28時間まで」って、どうやって数えるの?
留学生のアルバイトには、「1週間に28時間まで」という時間の上限があります。
これも、数え方に少し落とし穴があるので、ていねいに説明しますね。
やさしい日本語で読みたい方へ
このページの内容を、やさしい日本語でまとめた記事もあります。
① 「どの7日間で区切っても」28時間以内
「週28時間」と聞くと、「月曜から日曜までで28時間ならいいんでしょ?」と思いがちですが、そうではありません。
正しくは、「どの曜日から数えても、7日間で28時間を超えない」という数え方です。
たとえば、
・水曜日から次の週の火曜日までの7日間
・木曜日から次の週の水曜日までの7日間
このように、どこで切っても28時間以内でなければならない、ということです。
「先週少なかったから、今週は多めに」
という調整(月平均で考えること)は、できないと思っておいてください。
② 長期休業は40時間まで。でも「テスト休み」は別
夏休みなどの長期休業の期間は、特別に週40時間まで働けるようになります。
ただし、ここで注意したいのが、「長期休業」とは学校が学則(ルールのようなもの)で定めた、夏休み・冬休み・春休みのような期間のことだという点です。
たとえば
「テスト期間中で授業がない日が続く」
「ゴールデンウィークで授業がお休み」
こうした期間は、長期休業にはあたりません。
授業がなくても、週28時間のままです。
ここは勘違いしやすい落とし穴です。
③ かけもちは「全部を合計」して数える
複数のお店でアルバイトをしている場合は、すべてのお店の時間を合計して、28時間以内におさめる必要があります。
ここで困るのが、お店どうしは、おたがいの勤務時間を知らないということです。
A店は「うちでは週15時間だから大丈夫」
B店も「うちでは週15時間だから大丈夫」
と思っていても、合計すると30時間で、上限を超えてしまう・・・
こういうことが起こりえます。
お店は連絡を取り合いませんから、自分でまとめて管理するしかないのです。
◇ここがポイント
週28時間は
「どの7日間で切っても」
「テスト休みは含まない」
「かけもちは合算」。
不安なときは、自分の勤務時間をカレンダーやメモにつけておくと、後から見返せて安心です。
Q5. 「知らなかった」では、済まないこともあります
ここは少しだけ、とくに大事なお話です。
「すぐにバレないから大丈夫」
もしかすると、そう思っている方がいるかもしれません。
でも、これは「すぐ捕まらないかも」だけであって、「安全」という意味ではないのです。
アルバイトの記録は、税金の記録などのかたちで、しっかりと残っていきます。
そして、その記録は、
・就職するとき
・在留資格を更新するとき
・将来この国に長く住みたいと願ったとき
人生の大切な節目で、照らし合わされることがあります。
つまり、今この瞬間ではなく、少し時間が経ってから影響が出てくることがあるのです。
たとえば、上限を超えて働いていた事実が後から分かると、
・在留期間の更新が認められにくくなる
・別の在留資格への変更がむずかしくなる
といったことが起こりえます。
そしてもう一つ、知っておいてほしいことがあります。
「時間が経てばリセットされる」わけではない、ということです。
「とりあえずやり過ごせば、そのうち忘れられるだろう」と考えてしまいたくなる気持ちは、よく分かります。
でも実際には、やり過ごすよりも、正直に、早めに相談して、正面から立て直していくほうに、道があることが多いのです。
このあたりの細かいしくみ(どうやって発覚するのか、その後の手続きなど)は、専門的で複雑です。
ここでは
「記録は残る」
「時間差で効いてくる」
「リセットはされない」
——この3つだけ、心に留めておいていただければ十分です。
Q6. 雇うお店の方へ —— 知らずに「協力者」になってしまわないために
ここで少し、留学生を雇う側のお店の方に向けてもお伝えしておきたいことがあります。
実は、ルール違反になったときに責任を問われるのは、留学生ご本人だけではありません。
上限を超えて働かせてしまったお店も、「不法就労助長罪(ふほうしゅうろうじょちょうざい)」という罪に問われる可能性があります。
しかも、こわいのは「知らなかった」としても、確認をきちんとしていなかった場合には、責任を免れないことがあるという点です。
たとえば、
・在留カードの裏面の許可を確認しなかった
・かけもちの状況を聞かずに、長時間のシフトを組んでしまった
——こうしたケースでも、お店側の責任が問われることがあります。
「うちは知らなかったんだから関係ない」とは、なかなか言いきれないのです。
お店の方へのお願い
採用のときに「在留カードの裏面の許可」を確認すること。
そして「他のお店でも働いていませんか?」と、たずねておくこと。
この小さなひと手間が、お店と留学生さん、両方を守ることにつながります。
労働時間や働き方のことは、雇う側にとっても大切なテーマです。
「雇いたいけれど、何を確認すればいいか分からない」という方も、遠慮なくご相談くださいね。
お店・会社の方へ
採用のときに確認したいことを、チェックリスト付きでまとめた記事があります。
→「留学生をアルバイトで採用するときに、確認しておきたいこと」
Q7. 困ったときは、一人で悩まず早めのご相談を
ここまで読んで、「思っていたより、ルールが細かいな」と感じた方もいるかもしれません。
たしかに、留学生のアルバイトには、知っておきたいことがいくつもあります。
でも、先に知っておけば、防げることがたくさんあるということでもあります。
「もう超えてしまったかもしれない」
「自分の在留カードに、何が書いてあるのか分からない」
「お店の人にどう伝えたらいいか分からない」
——もし、そんな不安をかかえているなら、どうか一人で抱え込まないでください。
困ったことほど、早めに相談したほうが、立て直せる道が広く残っています。
時間が経ってからでは、選べる選択肢が少なくなってしまうことがあるからです。
「こんなこと聞いてもいいのかな」という小さな疑問でも、まったく問題ありません。 むしろ、その小さな一歩が、未来の大きな安心につながります。
当事務所では、留学生ご本人からのご相談はもちろん、ご家族の方、留学生を雇うお店の方からのご相談も承っています。
なるべく難しい言葉を使わずに、いっしょに整理していきますので、どうぞ安心してご相談くださいね。
最新の情報は確認を
この記事は、できるだけやさしくお伝えすることを大切にした、一般の方向けの読みものです。
実際の手続きやルールは、法令や運用の変更によって変わることがあります。
ご自身のケースについては、最新の公式情報や専門家への相談を通じて、必ず確認してくださいね。(情報は2026年6月時点のものです)
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